WBC雑感

 さらに言えばライブドアの場合と同じように、「勝てば官軍」という情動的な部分が今回もろくにコントロールされないまま紙面化された、と。

 そうはいえ、世間の高揚感との折り合いの付け方は、事後的に語るほどに容易ではない。メディアのガバナンスは興奮にブレーキをかける形では機能しない。せいぜいコラムニストが私見として語るくらいだ。情緒的な判断について緩衝材を求められることは現実は厳しい。オンブズマンのような外部機関を設けてもリアルタイムで呼応できるわけもなく、効果は期待できないだろう。おそらくは現状のような、ネット上の場が受け皿としてしばらくは大きなウエイトを持つだろうし、そこからの世論醸成がさらに幅を広げていくのだろう。

 むしろ今回は以下の部分がもう少し話題になっていい。

 ナショナルチームの戦いに熱狂的な関心を持つ韓国だから、実際のところは単に今回の結果を受けてのものかもしれない。その点を割り引いても、評価されるべき視点が少なくなかったと思う。冷静なばかりではつまらないが、扇情的になりすぎても危うい。思いがけない世界一に、日本のメディアがそのあたりを自覚的に制御できない(する意識が乏しい)ことを露呈したように思える。