赤頭巾ちゃん気をつけて
ふと思いついて「赤頭巾ちゃん気をつけて」をつらつら検索。
- 著者庄司薫氏は1937年生まれ。妻はピアニストの中村紘子さん
- 発表年は1969年。同時代の空気はたとえば村上龍『69』などで描かれている通り。
- ライ麦畑をつかまえてとの符合
- 『グロテスクな教養』(高田理惠子/ちくま新書)で「教養論」として取り上げられている
で、いきおいで、買ってきてしまった。
ついでに稲垣武『朝日新聞風雲録』斎藤美奈子『読者は踊る』なんてのも手に入れたけれど、とりあえずここでは触れない。
赤ずきんちゃん気をつけてが1969年。桃尻娘が77年、なんとなくクリスタルが81年。
微妙に、時代的にズレている部分がありつつ、なんとなく共通項がありそうな、そういうタイプの作品に思えたので手に取った。でもこうして並べてみると、案外読み手の側の世代的ニュアンスが作品のイメージを左右しているのかな、とも感じる。
三作とも(読まれるかどうかはともかく)今や古典の範疇。最新のなんとなくクリスタルを書いた田中康夫が知事や新党党首として露出しているのを除けば、日常接する機会のない領域にある。実際、例えば81年に何があったかというのを調べてみると、たとえばポートピアやなめネコ、ダイアナ妃結婚と、なるほど時代を感じさせるものが多い。
ところが興味深いことに、81年に連載開始されたマンガはということになると『キャプテン翼』や『タッチ』など以外と現役感の強い作品が見つかる。タッチは最近実写映画となったし、キャプテン翼に至っては未だに連載が続いている。素人目に、活字よりも賞味期限の短そうなマンガが、生き残る。この寿命の差を生み出すものは、単にスポーツという題材が風化に耐えやすいためだけなのだろうか。
さらに調べれば、69年連載開始の作品にゴルゴ13。ため息が出る。