司法の「しゃべらなすぎ」

 判決の蛇足が多すぎる、と指摘する新書の著者が、判決の短さを理由にダメ出しを食らっていた。

「司法のしゃべりすぎ」の判事「判決短すぎ」減点評価

 結論と無関係な記述は判決文から省くべきだと主張する「司法のしゃべりすぎ」の著書で知られる横浜地裁井上薫判事(50)が、上司から「判決理由が短すぎる」とのマイナス評価を受け、「裁判官の独立を侵害された」とする不服申立書を同地裁に提出していたことが30日、分かった。

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 読売新聞の取材に対し、浅生所長は、「人事評価の内容は本人以外には明かせない」とした上で、「判決理由が極端に短ければ、当事者が『自分の主張を受けとめてくれたのか』と疑問に思うのは当然。当事者から不満が出れば、所長が本人に指摘することはありうる」と話す。

 一方、井上判事は「判決の長さについて定めた法律はなく、法令に違反していない裁判官をやめさせることはできないはずだ」と訴えている。

 長かろうが短かろうが、判断の趣旨、理由がしっかり伝わればいい話で、くだらない騒動としか言いようがない。そもそも著作で指摘していたのは判決理由で傍論的に語られた部分に訴訟の重要な要素がある判決の問題。たとえば先日の靖国参拝訴訟で、原告敗訴にも関わらず違憲判断が示されたなどのケースであって、それにくらべれば今回のような騒動はあまりにも次元が低すぎる。