少年による尊属殺は増えているのか?
福島で少年が母親を殺したうえ、その切断頭部を持ち出頭するという事件があった。
少年の凶悪犯罪が増えた、という仮構がある種の文脈でしか見られなくなりつつあるなか、毎日新聞は少年による親殺し、いわゆる尊属殺人の増加に触れている。
少年による親の殺人・殺人未遂事件は05年に17件と急増し、最近10年で最悪の数値を記録した。なぜ、親の殺害にまで発展するのだろうか。また、今回の事件とこの傾向に関連はあるのか。
Web上には見当たらないようだったが、紙面では2005年までの10年の未遂を含む少年(犯行時14-19歳)による実父母殺人事件件数をグラフ化して掲載している。
96年 10
97年 9
98年 5
99年 9
00年 8
01年 8
02年 3
03年 6
04年 9
05年 17
06年については数字がないが、少年による猟奇的殺人事件の別表には5件の事例が挙げられている。
以上のデータをみる限り、たしかに03〜05年については増加しているものの、02年の3件、05年の17件が突出しているにすぎない。
ここから少年による親殺しが増加傾向にあると結論づけることはちょっと難しいと思う。
ちなみに尊属殺についてみると、加重規定が刑法改正により削除されたのは1995年。
1973年の最高裁での違憲判断から約20年後のことである。