戦略

 「前原ブログ」開設検討…民主、メディア戦略を強化

党内に「メディア戦略室」(仮称)を新設し、HPや機関誌の刷新や、前原氏による日記形式の簡易HP「ブログ」を始めることなどを検討している。

 公選法の制約で選挙期間中のHP更新が難しいという状況は、選挙運動としてのネット活用の幅を狭めているといわれるが、個人的には必ずしも悪いことばかりじゃないと思う。
 例えばブログについても、平素の活動を通して人となりや活動が伝えられればよいわけで、何もその期間に限ってアピールできないことが当事者に不利益になるとは言えない。むしろ選挙期間中のスピーカー使用禁止、運動員使用制限などすれば、無意味な名前の連呼もなくなるし知恵の絞り方で対応も変わるだろうし、面白いんじゃないか。

 小泉首相は、確かに局面的な状況設定について類いまれな嗅覚をもっているが、メルマガなど意外と地道な分野での活動もおろそかにしていない。総理という圧倒的な露出度に加え、静的ながら固定層を押さえるメディアで確実に、しかもダイレクトにメッセージを発信する。この直截的恒常的涵養は、ワンフレーズとかポピュリズムとかいった小賢しい批判をあっさり撥ね除けるくらいの威力は発揮するだろう。ここに衆院選圧勝の要因を見出すにはなお精緻な検証が必要だとしても、少なくとも野党サイドにこれだけのチャンネルはなかったのは確かだ。

 今どうなっているのかわからないが、かつて民主党は居酒屋対話として幹部が一般の人と酒を酌み交わしながら意見を聞いたり議論したりという場を持っていた。現在の民主党の状況を見れば、必ずしも功を奏したと評価できるものではないのかもしれない。しかし、方向性としてはそれなりにツボを押さえたものだったと思える。この路線で、例えばタウンミーティング的な集会を持つ、しかも都市部に限らず地方で、過疎地で、そういう試みはあってもいい。もちろんブログやHPを活用することもいいだろう。しかし今注目度の高いメディアということは、イコール発想として最もありふれ、陳腐なものに映るということも肝に銘じておくべきだ。